そんな中、中年親父─担任の松永(まつなが)は、腹をたぷたぷと揺らしながら教壇の上で、プリントを眺めていた。

それを見て、生徒たちは思うのだ。


──ああ、アレはきっと‥


「えーっと‥一年は二回目のテストとなるわけだが──‥暑さにやられて気だけは抜かんように!」



期末テストの日程表なのだ、と──



「前は、簡単だったからって安心して手抜きすると痛い目見るぞー。今回は、中間みたいにもう中学の復習をテストするんじゃないんだからな!‥まぁ、手抜きして三年になって泣きわめくことになっても、オレは知らんがなっ!!」


まるで他人事のように言って、豪快にガハハハハと笑う彼には、品なんてものはカケラもなかった。

そして、先ほどまでは、うなだれていた生徒たちが顔を上げ一斉にブーイングし出す。

それでも松永は気にすることなく、むしろそれが快感なのか、いまだに笑いながら──


「来週に備えて今からしっかり勉強しとけー」


と言う。

そして、教室を見渡したかと思えば、窓際の一番後ろにいる少女で目を止める。