恋なんて知らないっ!

「何の話してるの?」

突然、後ろから声がした。

振り向くと、そこには隼人くんが立っていた。


「おはよう、隼人くん!」

「おう。おはよ」


玲奈ちゃんが、ニヤニヤしながら答えた。

「恋バナっ!」

「へー。恋バナねぇ……」

……ん?


隼人くん、なんだかこっちを見てない?

気のせいかな?


「で? 由良って、好きな人いるの?」

「いるよっ!」

「「えっ!?」」


玲奈ちゃんと隼人くんの声が、見事に重なった。

……あれ?

そんなに驚くことかな?


「だ、誰!?」

玲奈ちゃんが身を乗り出して聞いてきた。

隼人くんも、なぜか妙に真剣な顔をしている。


えーっと……。

私の好きな人?

そんなの、決まってるじゃん!

「数学♡ 数学は裏切らないよ!」

…………。

………………。


あれ?

2人とも、なんで苦笑いしてるの?


「……由良っぽいな」

隼人くんが、なぜかホッとしたような顔で言った。

「ね〜。ほんっと、由良らしい!」

玲奈ちゃんも、呆れたように笑っている。


……え?

何??

私、変なこと言った?

そもそも、恋ってこのことじゃないの?


数学を解けたときの達成感!

正解したときの嬉しさ!

どんなときでも、答えを教えてくれる数学!


……最高じゃん!!

……でも。

昨日、隼人くんにキスをお願いされたときのドキドキは……


数学を解いているときとは、ちょっと違ったような……?


…………。


いやいやいや!

気のせい、気のせい!


うん!

今日も数学、頑張ろ〜っと!