番犬姫と総長さま

『⋯⋯?』



麗の言っている意味がわからなかったけど、断る理由も無かったから、そのまま麗のお願いを聞き入れた。




そして、入学してから二ヶ月が経った今でも、その格好を続けている。

なんで麗が地味な格好をすることを強要したのかはわからないけど⋯⋯あはは。



「⋯⋯なんなの、あの人たち」

「え?」



隣から、麗の低い声が聞こえた。

ま、まずいっ⋯⋯!



「う、麗。私は大丈夫だからっ⋯⋯! ね?」

「うぅ〜⋯⋯。
珠桜がそう言っても、私が悔しいのーっ!」



麗は、優しいなあ⋯⋯。

優しい幼なじみがいて、私は幸せだなあ。

陰口のようなものを言われたって、私は平気だ。

⋯⋯もちろん、麗のことを悪く言われたら、すぐに制裁を加えるけど。


“麗には陰口、言わないでよ?”


そんな意味を込めて、私は麗にバレないように周りを少し睨んだ。



「ひっ⋯⋯!」



ふぅ⋯⋯これで、私がいるときに麗に手を出す人は減ったかな。





「今日も怖いね⋯⋯」

「ほんとほんと。さすがは、黎明学園の〈番犬姫〉」




私たちがクラスへ向かう背後でそんなことを言われているとは、知る由もなかった。