番犬姫と総長さま

いくら普通の学生生活を送りたいとはいっても、斎宮家は誰もが知る財閥一族。

嫌でも目立ってしまうのだ。



「それにしても⋯⋯」

「天龍院さんったら、今日も斎宮さんの隣にいるのね」

「釣り合わないにもほどがあるわ」



⋯⋯そして、その視線は私にも向けられている。

冴えない黒髪。瞳を隠すような大きなメガネ。
ゆるく結った二つ結び。

誰がどう見ても、地味と言うような格好だ。

おしゃれに関して無頓着な私は、できることならわざわざ髪の毛を結んだりしたくないし、メガネだってかけたくない。

でも、入学初日に麗からああやってお願いされてしまったのだから、仕方がない。




『珠桜、あのね⋯⋯お願いがあるの』

『どうしたの、麗?』

『学校へ行くときは、必ず二つ結びをして、このメガネをかけてほしいなっ』



そう言いながら、私に大きなメガネを差し出した麗。



『えっと⋯⋯どうして?』

『私のかわいい珠桜に、変な虫が寄らないようにするためだよっ』