番犬姫と総長さま

⋯⋯だけど、麗はお嬢様とはかけ離れたような性格をしている。

お転婆だし、危なっかしいし、おしとやかじゃないし⋯⋯でも、周りから愛される。
それが麗だ。

今だって、早朝に部屋を抜け出してここまで来ているのだろう。



「メイドさんたち、心配して麗のこと探し回っちゃうよ?」

「大丈夫だよ〜。いつものことだし!」



⋯⋯いや、いつものことにしないでほしいんだけどな⋯⋯あはは。



「なんなら、今にでもお屋敷抜け出して珠桜のお家行きたいんだけどねぇ。
さすがに大事になっちゃうかなーって」



ほら、今だってこんなこと言ってる。

普段の麗を知っている人なら、麗のことを「おしとやか」だなんて言わないだろう。

でも、麗は成績優秀で素行もよく、生徒や先生からの評判もいい。

だからか、学校では「大和撫子」なんて呼ばれているらしい。



「今こうしているだけでも、大事なんじゃないかな⋯⋯?」

「ふふっ、大丈夫だよ!
“天龍院家”には、絶対的な信頼を置いているからね!」