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『今日から、魔法使いが下宿することになった』
そんな突拍子なことを言われて三時間が経過した。
俺は、そう言われたことをすっかり忘れていた。
というのも、この三時間で洗濯、掃除をしてこの後はご飯の買い物へ行くために冷蔵庫の中を確認中。
母は破天荒な父や祖父とは異なり落ち着いて、きっちりしている人だ。
ただ、今日から自分も海外に行くからと冷蔵庫の中をすっからかんでいくのは、十三歳の息子に対して心配のかけらもなくて寂しくなる。
ただ、家の中はとても静かだ。
「買い物行くなら、制服も取りに行きたいし……部屋で漫画読んでからにするか……」
そんなことを一人でぼそりと呟く。
一人暮らしをすると、独り言が多くなるというのは六歳年上の兄が一人暮らしを始めてから言っていた。
ちょうど、一年前のことである。
一人暮らしを始めてホームシックになったとかで、毎日俺に電話をかけていたのだ。
自分が寂しくなくなると、連絡をぱったりやめる男だから薄情である。
「お。これにしよ」
俺の部屋には、床から天井までジャストサイズの本棚がある。
そして、本棚全てがびっちりと本で埋め尽くされている。
まぁ、全部漫画なんだけど。
そのうちの一冊を手に取ると、ベッドに寝転がった。


