「私、どら焼きしかわかんない!」
「やっぱりお前、ドラ〇もんか」
「はて……ドラ〇もん?」
「なんでそれは知らねぇんだよ」
はぁ、とため息を吐かれてしまう。
えぇっ……!?
私が知らないことにはマウント取っちゃうんだ!?
「ま、いいや。少し早いけど、昼飯にしよ。どら焼きはないから、焼きそば作る」
「焼きそば……?」
初めて聞く言葉に小首を傾げれば、彼は私と反対方向に首を傾げる。
「甘い?」
そう聞けば、首を横に振る。
「甘くない」
「どら焼きじゃない?」
「どら焼きじゃない」
部屋から出るお兄さんに、ついて歩く。
階段を下りると、広々とした部屋にやって来た。
「ここは……!?」
「リビングだよ。飯食ったり、テレビ見たりすんの」
そう言うと、白い長方形の箱から何か色々と取り出す。
なんだろう~と、軽い気持ちで覗くとひんやりとした風が私を襲う。
「ひゃっ! 冷たい! 何!? 私と勝負しようっていうの!?」
「冷蔵庫相手に何言ってんだ。お前、あっちで大人しく座っとけ」
そう言うと、黒くて薄い大きな四角い箱の前にあるテーブルを指さす。
「あれは!? 敵!?」
近付くと、私の姿がうっすらと映っている。
なんで!?
そう思って勢いよく彼に聞くと、またため息を吐かれた。


