天邪鬼を極めた婚約者が可愛いなんて思うわけねぇだろ!

 私には婚約者が理解できなかった!


 私の婚約者はアルフレッド公爵令息様であり、大変イケメン、さらに名門であり、私はみんなから羨ましいと言われた。

 まぁ私の家は伯爵家に過ぎないので、いくら私が一応貴族学校の成績が優秀だった程度では破格の相手であることは間違いない。


 だからお父様も「ユリアよ、必ずや上手くやるのだぞ!」などと言っていた。



 ということで、私は大変だけど頑張ってアルフレッド様がどういう方か見極めて、それに相応しい女になろうと思うのであった!


 いや大変だなぁとは思いますけどね!



 まず初めてのお茶会から理解できなかった……!




「アルフレッド様とこうして一緒にいられること嬉しいですわ!」


 まぁ正直お世辞があって媚びがあったと言われれば否定できない!


 だが……



「そのようなことを言う女は信用ならぬ!」



 などと言われるでは無いか!



 私は反省した、なるほど、もっと率直な女が良くて、こういう美辞麗句を好まない方なのかなと!


 そのほうが助かる!私好みである!


 と言うことで私は怒られたにも拘らず悪い気はしなかったのである!




「失礼しました!」




 こうして次回お会いしたときは失敗しないようにしようと思っていた!



 そして次回……




「アルフレッド様恐れ入ります、私は紅茶に砂糖を入れるのを好まないのです、どうかこれからは配慮を願います!」



 と率直に言うことにした、言い方は丁寧に言ったつもりだが、ようは配慮せずに、堂々と言ったつもりである!すると……




「なんて嫌な女なんだ!僕に言いがかりをつける気か!?」



 などと激怒するでは無いか!




 私はえ?率直に言うのも駄目なの?と困惑した!?



 いやこの程度で失礼な言い方で怒るとかある?そこまで器が小さい方なの?


 私は確かに不作法に遠慮なく言ったかもしれないが、それでもアルフレッド様を侮辱したつもりは無い!


 媚びるのが嫌いならばこういうのでいいのかと思ったら、これも許されないなんて!




 私は頭を抱えるはめになったのであった……




 次に私は仕方ないから自己アピールをしてみることにした!



「アルフレッド様恐れ入ります、本日の服、私に似合うと思わないでしょうか?」



 これで挽回できればいいのだが……



「そなたの服をなぜ僕が気にしないといけないのか!」




 ……ならば自分が褒めて欲しいのかな?


 そう思って……



「失礼しました、アルフレッド様のお素敵な服を差し置いて図々しかったと思います……!」



 このように言うと……



「最初に言っただろう!そういう媚びる女は嫌いなんだ!」




 私はもう嫌になった。何を言っても文句を言うのだから、きっと私のことが嫌いなのだろう!だから言ってやることにした!



「私のことがそこまでお嫌いでしたら、いくら政略結婚とは言え上手くいかないのでは無いでしょうか?」


 こちらから断るには身分的に厳しいので、マジでアルフレッド様から破棄して欲しい!


 慰謝料よこせなんて強欲なことは私は言わないし、お父様にも進言するからさぁ!




 すると……



「いつ私がユリアを嫌いなどと言ったのか!誤解をするな!」



 え?意味が分からないのですが、私が何をしても文句を言っておいて、嫌いでは無い?



 そんなことある?



 私は困り果てて言う。




「では何故いつもいつも私が何を言っても怒るのです?」





 しかし無視されるでは無いか……!



 一体なんなのだ!



 私はちょっとムカついてきて流石に言ってやる!






「私はもうアルフレッド様と上手くやっていける自信がありませぬ!」





「そんなことは無いきっと我々は上手く行くぞ!」


 どの口が裂けて言ってるんだ!



 私は思った、こいつまさか私を虐待したいだけでは?



 ふざけるなよ、だがそういうレベルでは無いか!



 こうなったら何とかして婚約破棄をするしかない!そう誓うのであった……





 するとある日の事、アルフレッド様と他の公爵令息の友人が話しているのを目撃した!



 私は遭遇したくないので隠れたのだが、声が聞こえてくるでは無いか!




「アルフレッドよ、お前の婚約者は羨ましいな、才女でキレイなのだから!」




「そうだろう?私も鼻が高いのだ!」



「まったく上手くやりやがって!」



「いやそうでもない、中々仲良くなれないのだよ!」




「何でだよ、お前ならうまく行くだろ!」



「いや好きなのだが素直になれなくてな!」



「子供か!」





 はぁ?私を虐待したいのならば、友人の前でもっとイキり散らしたことを言うはず。



 こいつ何を言ってるのかしら?



 仲良くなりたいのなら、少なくても何であんな私を否定する事ばかり言い続けるの?



 別に口下手ならそれはそれで黙っていればいいじゃない!




 ……友人の仰るように、マジで子供なだけでは?



 だから単に私が言うことを反対してみるみたいな馬鹿なことをしているだけでは?



 私はお守りなんてしたくない!


 そう思って今度会う時に強く言うことにした!





「アルフレッド様?私はアルフレッド様のご機嫌を取ろうにもうまくできず、さりとて、素直に接しても怒られ、まったく妻になれる素養を自分に感じられません!よって私を捨てることが正しいと思いますがいかがでしょうか!?」




「待ってくれ!どうしてそんなことを言うのだ!君ほど僕に相応しい、いやむしろ僕にはもったいない妻はいない!何でそんなことを言うのだ!」




「ならばどうして私が言うことを全部否定なさるのです!今だってある意味否定していますよね?」




「だ……だからそれは君のことが好き過ぎて素直になれなくて……」




「そうですか、でもコミュニケーションが取れないので私はうんざりするだけですね!」




「捨てないでくれ!僕は君がいないと終わりだ!」




「嘘をつくな!いくらでも公爵令息なら相手なんているだろうが!」




「違うんだ!君がいないと死ぬ!」



「じゃあ私のために婚約破棄をしてくれや!」



 私は思わずガラが悪くなってしまったが、まったくもって支離滅裂だ、本当に死ぬわけねぇだろ!


 私は見切っている、こいつどうせ口先だけだ!


 だって本気で私のことが好きならば、不機嫌にさせようとするわけないし、さらに私が嫌がっているのならば解放するはずだ!


 つまりどうせ自分が第一で、私はそのアクセサリーに過ぎず、それならそれでもいいけど、その程度なら死ぬわけが無いからだ!


 私がその程度も分からないわけ無いだろうが!




「僕は絶対に婚約破棄しないぞ!」



「分かりました、ならば一生私に尽くしてください!」



「そんなことできるか!婚約破棄だ!」



 ……天邪鬼もここまでくると凄いですね。



 私は公爵家に正式に婚約破棄を言い渡した。



 罪状は天邪鬼過ぎて会話にならないからと!



 公爵夫人は言う「そこをなんとかならないかしら?ほら可愛いと思うとか……」



「恐れ入ります無理です!」




「まぁ確かに馬鹿過ぎて無理ってのはぐうの音も出ない!」


 公爵様がお認めになってくれたことで、私は解放された!




 アルフレッドだが、私の後何人かにも全員振られたらしい。


 公爵令息と言う看板があってもコミュニケーション不全過ぎて、誰もが耐えられなかったからだ!


 本人はどうしてって嘆いているけど、あれを可愛いと思ってくれる不思議な令嬢以外は無理でしょうね。


 私には無理でしたそれだけですわ!