桜の雨が止む前に、君の嘘に気づけたら。

けれど、よそ見していたのが悪かった。

降り積もった桜に足を取られて、グラッ、と前に体が傾くのを感じる。



……転んじゃう……っ!



ギュッと目を瞑ると、衝撃の代わりに、温かい何かに受け止められた。





「──っ、大丈夫?」





耳元で聞こえたその声に、恐る恐る目を開ける。







そこにいたのは、サラサラの薄い茶髪桜みたいに綺麗で今にも消えてしまいそうなほどに儚い、男の子だった。






「……へっ? あっ、えっと……っ」





私が言葉に詰まっていると、彼は「もしかして、どこか痛い……?」と眉を下げた。



覗き込んできた彼の声は、戸惑っていながらも耳にすっと馴染む、おだやかで優しいトーン。

ま、待って、近いよ……っ! は、恥ずかしい……!





「……ごっ、ごめんなさい! あのっ、ありがとうございます……! 大丈夫ですっ!」




私が勢いよく体を離して頭を下げると、彼はきょとん、と不思議そうな顔をする。





「あははっ、気にしないで。無事でよかったな」