桜の雨が止む前に、君の嘘に気づけたら。

ニコニコしていると、奏絵は不思議そうに顔を覗き込んできた。




「ねえ、歌乃〜。やっぱり遅刻して来た朝、なんかあったの?」


「えっ? な、なんにもないよ!? うんっ!」




慌てて目を逸らしながらそう答えると、奏絵は「ほお……?」と訝しげに呟いた。

校門前であんなに騒いだのだけれど、奏絵は廊下側の席だったから見ていなかったらしい。




こういうの、好都合っていうのかな……!?




“あの桜の男の子が忘れられない”なんて言ったら、からかわれちゃうと思うし……!

だって、私とあの子じゃ釣り合わないもん……。

あの男の子には、もっと可愛くて優しい人か、大人っぽくて何でも出来るような人がお似合いだよね……!




……自分で思ったくせに、悲しいよっ……。




それにしても、名前を知りたかったな。

結局クラスは違ったし、朝にクラスを確認した時も、急いでいて見る暇はなかったから……。

あんなにかっこいい人だったんだから、学校でウワサになっててもおかしくないはずなのに……。