30センチ後ろの特等席






「とか言って、顔が赤いよ?」


「それは……、廊下が寒いから!」


「はいはい。でもさ、佐藤くんって何考えてるのか分かんないでしょ? 怖かったりしないの?」












クラスの女子達が話してたからさ、と付け足した千明。



その言葉に、私は胸ポケットに手を当てた。

そこには、明日勇気を出して返すつもりの、佐藤くんに借りた消しゴムが入っている。










「全然怖くないよ! 佐藤くん、言葉にはしないけどすっごく優しいの。プリント回す時は受け取るまでちゃんと待っててくれるし、物を落としちゃった時は気づく前に拾って渡してくれるんだよっ」











早口で一気にまくしたてる。


すると千明は呆れたように、でも、とても優しく目を細めて笑った。