30センチ後ろの特等席






「え!? 佐藤くんが消しゴムをくれた!?」









放課後。

誰もいない渡り廊下で、友達の千明が目を丸くして顔を覗き込んできた。



私は慌てて千明の口を両手で塞ぐ。











「こ、声が大きいよ……! それに、貸してくれただけだからっ!」










しっかり訂正してから、手を離す。










「ごめんごめん。でもあの佐藤 陽飛が女子に自ら物を貸すなんて! 天変地異じゃん!」










あの、ってどういう意味だろう?











「小雪、それ絶対脈アリだって」


「な……っ、違うよっ! 私が困ってたから親切にしてくれた、だけで……」











ブンブンと首を振る私に、千明は意地悪そうに笑う。