寂しがりな君には真っ赤な果実をあげる

そんなことを考えていたら、急に、発作的に、ももを手に入れたい気持ちが疼き出した。



私は、冷たい床に座り込み、ゆっくりと、陶器のようになめらかな感触のおでこに顔を寄せて、指の腹でそうっと撫でてから、穏やかに口づけした。



「私のワンピース着てる」



何気なく、優しく声を掛けてみると、ももの視界はようやく、私に焦点を定める。



照れ隠しのように、悪戯っぽく笑い、頬に小さなえくぼをつくる。



その穴ぼこを爪でつつくと、ももは更に楽しげに、ころころと、声を上げた。



「柘榴の匂いなんだもの。ね、かわいい?」



ももは囁くような声で尋ねる。



いつも、こんな疲れたような、ぼそぼそとした話し方をしていて、それが無性に私の心の奥の、小さなものをざわめかせるのだ。



「かわいいよ。もも、床は冷たくて硬いから、枕を敷かないと駄目。貴方の柔らかい頭が痛んじゃう」



ももの頬を擽りながら優しく叱る。



「でも、冷たくて硬いのは、気持ちがいいでしょう? あ、柘榴、お腹空いてない? 焼きそばをつくったの。僕はもう食べちゃったけど」



「ありがとう、後でいただくね」



むっくりとだるそうに起き上がりながら私の焼きそばがしまい込まれているであろう冷蔵庫の方を見るもも。



彼は料理が好きらしく、いつも二人のご飯を作ってくれている。



そのためか、料理をしない時でも、ももはキッチンを占領することが度々あった。



料理以外は、大体遊んでいる様子。



横になって床を転がり回ったり、刺繍をしていたり、本を読んだり、今日のように、飴を咥えながら唄っていたり。