寂しがりな君には真っ赤な果実をあげる

ももを探して部屋を見渡し、やがて私の視界に入った彼は、たまに発作的にするように、私のワンピース(今日はベビーピンクのキャミソール)を着てキッチンの床に仰向けに寝転び、ぼそぼそと、呟くようにメロディを奏でていた。




蛇口から雫が垂れ、一定のリズムで無機質な音を刻む中、膝丈のスカートから伸びる細く青白い足は、無造作に投げ出されている。



長い睫毛に縁取られた虚ろな目、ちょこんとした小さな唇には棒付きの飴を咥えて、何か歌詞があるようだがごにょごにょと、何を唄っているのかは聴き取れない。



多分、ももだけが知っているのだろう。



私が傍に来ても、彼は私に焦点を合わせずに、ぼんやりと空を見つめたまま、ぼそぼそと唄うのを止めない。



ももの頭上に立っていた私は、そっとしゃがみ込み、彼の顔を覗き込む。



ももの顔は時々、子どもが楽しい夢を見るときのように可愛らしく笑むが、相変わらず目が合うことはなく、虚ろなまま。



こういうとき、ももの心に私はどれくらい存在できているのだろう、という考えが頭を過ぎる。



ももは、私と一緒に暮らしていてくれているのに、私をちゃんと見つめてくれないときがある。ももが考えていること、全部覗けたら、安心できるのかな。



それとも、私は狂ってしまうのかな。