辺りは土砂降りで煩くて、黒瀬さんの顔が陰って見えた。くわえた煙草の赤い先端から、白い煙が揺らいで上に向かっていた。
「止んだら、帰ります……」そう言って、目を伏せたとき、無骨な手から煙草が落ちた。
今にも転がりそうな煙草を、黒いスニーカーが踏みつけ、消えた煙草を、汚れた指先で摘み上げた。その指がテーブルの上に置かれた灰皿に行き、平らになった煙草が投げ入れられた。
すると、黒瀬さんは一度こちらを見てから、何も言わずに軍手をはめて、車に向かって行った。
いつもの様子を窺っていると、柔らかい毛が右手に触れてきた。ふと視線を落としたら、大福が頭を擦りつけていた。思わず目尻が下がって、優しく頭を撫でるうちに、気分も和らいでいった。
やがて、雨音が静かになったころ、大福が椅子から降りて、外のほうに歩いて行った。短い尻尾を立てて、軽々とした足取りを追っていると、水平線が目に入った。空には水色が覗いていて、灰色の雲が風に流されていた。
次第に太陽が見えてきて、大きな海原を照らし出した。打ち寄せる波音は激しく、引いていくときは優しく聞こえ、潮風が柔らかく吹き抜けた。
おもむろに腰を上げ、愛車に向かい、運転席に乗り込んで、家へ走らせた。カーラジオから軽やかな音楽が流れ、耳を傾けているうちに、家に着いていた。愛車から降りてみると、空は晴れ渡り、明るい日差しが降り注ぎ始めた。
そこで、洗濯をしようと思いつき、家の中に入って行き、浴室のほうへ向かった。
洗濯機の前で、一つずつ服を確かめながら、洗濯槽の中に入れた。洗剤類を入れたあと、蓋を閉じて、ボタンを押し、一息吐いた。
これから何をしようかと考え始めながら、居間に向かって行くと、ソファーに置いた鞄が目についた。
鞄を手にして、ソファーに腰掛け、中身の整理に取り掛かった。財布と小さな化粧ポーチ、ハンカチとティッシュ。少し大きめのポーチを手に取り、中を覗いてみると、頼りない物ばかりだった。
使いかけの消毒液と変形した絆創膏、期限の切れた胃薬や風邪薬が入っていた。中身を全部取り出し、居間のチェストの引き出しを開け、薬箱から必要な物を手にし、再びソファーに戻った。
そして、ポーチに綺麗に仕舞い、鞄に入れたとき、浴室のほうから洗濯機の終了の音が聞こえてきた。
そのあとは洗濯物を干して、しばらく縁側から景色を眺めてから、居間に戻り、ソファーに座った。携帯を取り出し、動画を見て時間を潰したり、夕方に洗濯物を取り込んだりした。
そこから晩御飯を作って、食事を済ませてから、小部屋に行って眠りに就いた。
「止んだら、帰ります……」そう言って、目を伏せたとき、無骨な手から煙草が落ちた。
今にも転がりそうな煙草を、黒いスニーカーが踏みつけ、消えた煙草を、汚れた指先で摘み上げた。その指がテーブルの上に置かれた灰皿に行き、平らになった煙草が投げ入れられた。
すると、黒瀬さんは一度こちらを見てから、何も言わずに軍手をはめて、車に向かって行った。
いつもの様子を窺っていると、柔らかい毛が右手に触れてきた。ふと視線を落としたら、大福が頭を擦りつけていた。思わず目尻が下がって、優しく頭を撫でるうちに、気分も和らいでいった。
やがて、雨音が静かになったころ、大福が椅子から降りて、外のほうに歩いて行った。短い尻尾を立てて、軽々とした足取りを追っていると、水平線が目に入った。空には水色が覗いていて、灰色の雲が風に流されていた。
次第に太陽が見えてきて、大きな海原を照らし出した。打ち寄せる波音は激しく、引いていくときは優しく聞こえ、潮風が柔らかく吹き抜けた。
おもむろに腰を上げ、愛車に向かい、運転席に乗り込んで、家へ走らせた。カーラジオから軽やかな音楽が流れ、耳を傾けているうちに、家に着いていた。愛車から降りてみると、空は晴れ渡り、明るい日差しが降り注ぎ始めた。
そこで、洗濯をしようと思いつき、家の中に入って行き、浴室のほうへ向かった。
洗濯機の前で、一つずつ服を確かめながら、洗濯槽の中に入れた。洗剤類を入れたあと、蓋を閉じて、ボタンを押し、一息吐いた。
これから何をしようかと考え始めながら、居間に向かって行くと、ソファーに置いた鞄が目についた。
鞄を手にして、ソファーに腰掛け、中身の整理に取り掛かった。財布と小さな化粧ポーチ、ハンカチとティッシュ。少し大きめのポーチを手に取り、中を覗いてみると、頼りない物ばかりだった。
使いかけの消毒液と変形した絆創膏、期限の切れた胃薬や風邪薬が入っていた。中身を全部取り出し、居間のチェストの引き出しを開け、薬箱から必要な物を手にし、再びソファーに戻った。
そして、ポーチに綺麗に仕舞い、鞄に入れたとき、浴室のほうから洗濯機の終了の音が聞こえてきた。
そのあとは洗濯物を干して、しばらく縁側から景色を眺めてから、居間に戻り、ソファーに座った。携帯を取り出し、動画を見て時間を潰したり、夕方に洗濯物を取り込んだりした。
そこから晩御飯を作って、食事を済ませてから、小部屋に行って眠りに就いた。



