海沿いの古工場と猫

 翌日。いつものように定食屋に行くと、昨日と同じ慌ただしさだった。人が疎らになる時間帯も昨日と同じ頃で、祥子さんからも同じ用事を頼まれ、また帰っていいと付け足された。祥子さんの様子は、こちらの体調を気遣っているようで、何だか照れくさくなった。

 そこから工場に行っても、同じ景色が広がっていて、私も同じ行動をして、家に帰って行った。

 居間でソファーに座っても、何かを待っているわけでもなく、縁側に腰掛けても、錆びた物干し竿が見えるだけで、蛙の鳴き声すら聞こえなかった。静かな町並みを感じながら、市街に出てみようかと思いついた。

 おもむろに腰を上げ、窓を閉めてから、家を抜け出し、愛車に乗り込んだ。

 エンジンを掛けて、ハンドルを持ち、どこに行こうかと考えたところで、アクセルを踏んでいた。市街に向かいながら、国道を走っていると、大型の商業施設の看板が見えてきた。映画館も併設されているようで、新作でも観ようと、駐車場に進んで行った。

 施設に入ってから、上部の案内板に従い、足を進めて行くと、次第に映画館が近づいてきた。そのまま歩いて行き、内部のチケット売り場に向かった。

 そこで新作と旧作で迷い、後者を選んでチケットを購入した。パンフレットでも買おうかと思ったけれど、上映時間が迫っていて、上映室に足を運んだ。

 映画を観るのは久しぶりのことで、旧作とはいっても、最後まで夢中になっていた。二時間半の物語の余韻に浸りながら、映画館を後にして、施設から抜け出した。

 駐車場に停めた愛車に乗り込み、帰り道でホームセンターに寄ろうと考え、走らせて行った。ホームセンターに着いてからは、隣の銀行で以前と同じようにATMを使い、少しお金を下ろした。そして、ホームセンターに行き、物干し竿を購入して、すぐ家に帰った。

 愛車を丁寧に停めてから、物干し竿を取り付け、錆びた物を家の脇に立て掛けた。これで明日から洗濯物や布団が干せると思ったところで、ようやくここでの生活が始まっていくことを感じていた。

 その日も早めに就寝し、翌日も同じ仕事をして、工場に行き、家に帰った。居間のソファーに座って考えた末に、市街を愛車で散策しようと思い付いた。

 すかさず愛車に乗り込み、市街に向かって走り続け、色々な場所や施設を見て回った。

 市街は町と打って変わり、スーパーやホームセンターが何軒もあった。動物病院や各種病院もあり、ゲームセンターやカラオケ屋もあった。遊びに来るには丁度よく、暇つぶしにも飽きない場所だった。

 さらに後日の空き時間にも市街に行って、今度はゲームセンターで遊んで、家に帰って眠りに就いた。