天才料理少女は、恋のレシピを知らない

次の日。

改札に久保田兄弟はいなかった。

ほっとして、改札を通ってホームに行くと、泣きそうな顔をした律くんにつかまってしまった。



「ごめん。話だけでも聞いて欲しい」



自分より小さい律くんにそこまで言われて、仕方なくホームの端っこにあるベンチに二人で座る。



「突然、声をかけてごめんなさい」

「……はい」



いや、一番の問題は声かけじゃない。

動画を見せてきたことだ。

突然「これ、あなただよね?」って怖くない?

ホラーだよ。

文句を言いたいけど、年上なので大人になって黙る。

「マリーは、俺たち兄弟にとって大事な場所で」
「マリー?」