天才料理少女は、恋のレシピを知らない

2学期の中間テスト直前。

夏休みで、すっかりゆるみきった頭がうらめしい。



「やばい……」

「また教えようか?」



久保田(くぼた)家の広いリビングで頭を抱えていると、救いの声が降ってきた。



「お願いします!」



1学年上の春(はる)くんが、にっこりと笑う。

1学期の期末テストも、赤点を免れたのは彼のおかげだ。



「シャーペンも貸そうか?」

「ぜひ!」



前回、春くんがお守り代わりに貸してくれた紺色のシャーペン。

彼のように華麗に問題を解く……ということはできなかったけど、落ち着いてテストを受けられた。

差し出されたシャーペンに手を伸ばそうとすると、黒いシャーペンが横から並ぶ。



「ん?」

「杏(あん)、これ」