「あたかも自分は違う、みたいなスタンスだね」
「事実ですし」
「諸星はさ、鈍感にも程があるとセンパイは思いますけど?それとも気付かないふりだったりする?」
「……なんの事ですか?」
純粋に疑問で聞いたのに、小川さんは呆れたように笑う。そのまま手に持つレシートを私に渡してきた。
「あげるよ」
「……えっ?」
「俺さ、好きな人いるから」
そう言うと小川さんは席を立った。椅子にかけていたジャケットを羽織る。
気が付けば、もう打ち合わせの時間に迫っていて私も慌ててレシートをポケットに雑に突っ込んだ。
好きな人……?
小川さんに好きな人なんているんだ…。
完璧すぎて隙がなく人間味がない人だと思ってたけど、ちゃんと恋するんだ。



