「それを聞いて安心したよ。僕が手を出すことはないにしても、他の誰かと自棄を起こされても困るからね」
終電を逃してしまったら、そのまま朝まで一緒に店に残るか、タクシーで送ってくれた。
最後の告白をしたのは、大学卒業も近い頃。
もう、彼が人気作家である事実も知らされていたから、多少の遠慮もあったし、卒業を控えた私は、もうじきバイトも辞めることになっていた。
「私ね⋯⋯あなたを諦める為に、他の子とデートしたり、合コンに行ったこともある。でも、どうしてもあなたじゃないとダメだった。もう、あなたに告白するのはこれきりにします。忘れるなんて、きっと出来ないけど⋯⋯好きな人に迷惑だけはかけたくないから」
もう充分、迷惑ならかけたけれど。
彼は暫く無言で私を見つめていたが、鞄から文集のような冊子を取り出して渡してくれた。
タイトルはなく、著者名は彼の本名になっていた。
「これ⋯⋯何ですか?」
「短い私小説。いつか渡そうと思ってた。これが僕の答えだよ」
終電を逃してしまったら、そのまま朝まで一緒に店に残るか、タクシーで送ってくれた。
最後の告白をしたのは、大学卒業も近い頃。
もう、彼が人気作家である事実も知らされていたから、多少の遠慮もあったし、卒業を控えた私は、もうじきバイトも辞めることになっていた。
「私ね⋯⋯あなたを諦める為に、他の子とデートしたり、合コンに行ったこともある。でも、どうしてもあなたじゃないとダメだった。もう、あなたに告白するのはこれきりにします。忘れるなんて、きっと出来ないけど⋯⋯好きな人に迷惑だけはかけたくないから」
もう充分、迷惑ならかけたけれど。
彼は暫く無言で私を見つめていたが、鞄から文集のような冊子を取り出して渡してくれた。
タイトルはなく、著者名は彼の本名になっていた。
「これ⋯⋯何ですか?」
「短い私小説。いつか渡そうと思ってた。これが僕の答えだよ」
