バツイチだけど恋をしてもいいですか

 その結果が、今のこの状況だ。

「なるほど。中里は養育費を受け取らずひとりで子育てしているのに、会社から支払われる扶養手当や公的な児童手当は、養育の実態がない沢辺が受け取っていることになるのか」
「……そうです」
「しかも沢辺は子どもを理由に欠勤や遅刻を繰り返し、中里はこの理不尽な状況を受け入れていたと」

 課長は不正やルール違反を許さない人だ。厳しい言葉を覚悟して、膝の上でぎゅっと手を握りしめる。

「とりあえず、事情は理解した。沢辺への今後の対応は後々考えるとして、まずは君の業務配分を見直そう」

 低く落ち着いた声が耳に届き、私は目を瞬かせた。

「業務配分ですか……?」
「子育てをしながら、今の仕事量をこなすのは負担が大きいだろ。これからは俺の裁量の範囲で、無理なく働けるように配慮する」

「わ、私は会社に嘘をついていたのに、怒らないんですか……?」

 驚いて顔を上げると、課長はまっすぐに私を見つめていた。

「中里は、なにを犠牲にしても、娘の幸せを守りたかったんだろう?」

 その言葉を聞いた瞬間、まぶたが熱くなり視界がにじんだ。