バツイチだけど恋をしてもいいですか

 重い沈黙にごくりと息をのむと、神崎課長が口を開いた。

「とりあえず、昼食を食べながら話そう。時間がもったいない」

 そう促され、「……はい」とうなずく。

 こんな状況で食べたって、なんの味もしないんですけど……っ。

 心の中で叫びながらも、言われるがままテーブルの上でお弁当を広げた。

 おかずが詰まったお弁当箱を見つめ、課長がぽつりとつぶやく。

「その手の込んだ弁当は、娘のためだったんだな」

 課長の言葉に思わず顔を上げる。

 彼の前に置いてあるのは、コンビニで買ったサラダチキンとゼリータイプの栄養補助食品、そしてブラックコーヒー。私のお弁当とは対照的な、無駄のなさすぎる昼食だった。

「課長にしてみれば、お弁当を飾り付けるなんて、理解できない行動ですよね」
「そんなことは――」

 否定しかけた課長の言葉に、小さく笑い首を横に振る。

「娘は食が細い子だったので、どうすれば食べてくれるか試行錯誤していたんです。かわいいお弁当を作るとすごくよろこんでくれたので……。まぁ、全部親の自己満足なんですけど」

 自嘲気味にそう言う私を、課長が静かに見つめた。