バツイチだけど恋をしてもいいですか

 必死に考えても、言い訳の言葉はなにも思い浮かばず、私は絶望的な気持ちで視線を落とした。





 翌朝、私は花音を保育園に送り届けたあと、重い足取りで会社へ向かった。

 昨日のスーパーでの出来事が、頭から離れない。

 神崎課長に花音の存在を知られてしまった。

 しかも私はろくに説明もせず、『帰って夕食の準備をしなきゃいけないので……!』と逃げるようにスーパーを出てきてしまった。

 思い出すだけで、胃のあたりがきりきりと痛む。

 今日、神崎課長と顔を合わせたら、みんなの前で事情を聞かれるに違いない。あっという間に社内に駿介が嘘をついていることが広まるだろう。

 そんなことになれば、激怒した駿介が自分を正当化するために、なにを言いだすかわからない。私が無理やり花音を連れ去ったんだと、親権を盾に訴えられる可能性だってある。

 最悪の展開を想像しながら、朝の混みあうエレベーターに乗り込む。視線を落としたまま一番奥まで進むと、隣に立つ人の靴が目に入った。

 ほこりひとつなく磨かれた、黒い革靴。

 まさか……。