バツイチだけど恋をしてもいいですか

 どう印象が変わったのか気になる。気になるけれど、本人にたずねるわけにはいかない。

 中里がこんなふうに気を許した文章を書いてくれるのは、回答しているのが祖父だと思ってるからだ。

 相談相手が上司の俺だと知ったら、職場で気まずい思いをさせるだろうし、二度と掲示板に相談を書くことはなくなるだろう。

 一方的に相手の秘密を知ることは、フェアじゃない。だけど、彼女が弱音を吐ける場所を取り上げたくない。

 葛藤の末、俺が回答を書いていることは隠しておこうと結論を出す。

「それにしても……」

 今までの彼女からの相談を思い返しながらつぶやく。

 中里は社内の噂に反し、娘とふたりで暮らし必死に仕事と育児をこなしている。

 しかもその事実を誰にも知られないように隠している。

 どうして噂を否定しないのか、そしてどうして子育てしていることを職場に相談しないのか……。

 理不尽な状況にひとりで耐え続ける彼女のことを思うと、胸の奥がざわついた。

 この気持ちをどう処理すればいいのか、俺にはわからなかった。