6相談相手の正体 神崎side
仕事を終えると、今日も祖父から【帰る前に店に顔を出せ】とメッセージが届いていた。
俺は動揺した気持ちのまま、『セイイチマート』へと向かう。
「お、来た来た」
自動ドアをくぐると、俺に気付いた祖父が笑った。
閉店間際で客のいない静かな店内で、灰色のエプロンをつけた祖父は明日の営業のために品出しをしていた。
小さな店とはいえ、やることはたくさんある。高齢者の祖父が、スーパーを経営するのは大変だろう。
そんな祖父を見つめながら「じいさん」と声をかけた。
「なんだい?」
「しばらくの間、例の回答を書くのはじいさんがやってくれないか」
俺の言葉に祖父は手を止め、不思議そうにこちらを見る。
「どうして?」
「……心が乱れて書ける気がしない」
ぽつりと言うと、祖父はしばらく俺を見つめてから、「なに言ってるんだ」と鼻で笑った。
「ほら、また相談の紙がこんなに来てるぞ」
手渡されたのは、はがきサイズの紙。そこには、このスーパーの客たちから寄せられた、様々な文章が書かれていた。
その紙の束を複雑な気持ちで見下ろす。



