バツイチだけど恋をしてもいいですか

「それは課長がちょっと近寄りがたいから、本人に言いづらいんだと思います」

 難しい表情で考え込む課長がおもしろくて、くすくすと肩を揺らして笑う。

 またひとつ、課長の意外な一面を知ってしまった。そのことが、なんだかうれしかった。





 その日も、保育園のお迎えのあとにスーパーに寄った。

 私の表情が明るいことに気付いたのか、花音に「ママ、なにかいいことあった?」とたずねられた。

「ちょっとだけ」とうなずき、軽い足取りで自動ドアをくぐる。

 いつものようにお買い物をして掲示板へ向かうと、花音が「あ!」と声を上げた。

「いろえんぴつ!」

 掲示板の前のテーブルにはかわいいうさぎさんのケースに入った色鉛筆が置いてあった。どれも先まで綺麗に尖った、新品の色鉛筆。

 花音の言葉に気付いたおじいさんが、「使っていいよ」と声をかけてくれた。

「もしかして、花音のために用意してくれたんですか?」
「あぁ。いつもかわいい絵を描いてくれるからね」

 うなずいたおじいさんの表情は、とても優しかった。