バツイチだけど恋をしてもいいですか

「渡辺から聞いた。営業部向けのチェックシートを提案したそうだな」

 不安な気持ちで「はい」とうなずく。

 もしかして、余計なことをするなと注意されるだろうか……。

「営業部の業務を知っている君だからこその貴重な意見だ」

 怒られるかもしれないと身構えていた私は、その言葉に目を瞬かせる。

「ええと……」

 どう反応していいのかわからず戸惑っていると、課長は無表情のまま「よく気付いてくれた。ありがとう」と私に言う。

「お……っ!」

 鬼課長に褒められた……!?

 そうつぶやきそうになり、慌てて言葉を飲み込んだ。

 そんな挙動不審な私を見て、課長の眉間にしわが寄る。

「お?」
「あ、いえ! なんでもないです」

 慌てて首を横に振って誤魔化す。

 自分にも他人にも厳しい課長が、わざわざ私に声をかけて褒めてくれるなんて意外すぎる。

 そう思ってから、はっとする。

 そういえば、渡辺さんたちはもう帰ったんだっけ?

 彼女たちに課長とふたりで話しているところを見られたら、またなにか言われるかもしれない。