バツイチだけど恋をしてもいいですか

「毎回同じようなミスで差し戻してますもんね」

 感心したようにうなずかれ、ほっと胸をなでおろす。

「神崎課長に提案してみる。通ったら中里さんにチェックシートのひな型をお願いしてもいい?」
「はい。大丈夫です」

 うなずくと、「ありがとう」とお礼を言われた。

 たったそれだけのことなのに、胸のあたりに小さな明かりが灯ったような気がした。

 勇気を出して、提案してみてよかった……と心の中でつぶやく。

 今までは努力したって、誰にも理解してもらえないと諦めていた。
 だけど掲示板のお陰で、自分の頑張りを認めてあげられるようになった。そして、愚痴をもらすだけじゃなく、少しでも前向きになりたいと思えるようになった。

 そんな私の行動の変化のせいか、法務部内の空気も少しずつ変わってきたような気がした。





 一日の仕事を終え、帰ろうとした時だった。

「中里」

 背後から低い声で呼び止められ、「ひっ」と肩が跳ねる。

 おそるおそる振り返ると、そこには神崎課長が立っていた。

 緊張しながら「なんでしょう」とたずねると、課長は冷静な表情のまま口を開いた。