バツイチだけど恋をしてもいいですか

 俺にしてみれば食事なんて、必要なエネルギーと栄養素を取るための手段で、見栄えや味には興味がない。

 けれど、彼女の弁当はとてもカラフルでかわいらしかった。
 ピンク色のピックで刺したミートボール。型でくりぬいたニンジン、タコの形のウインナー……。
 家事も育児もしなかったという噂とは正反対の、手間のかかった弁当。

 朝の慌ただしい時間に、不必要な作業に時間を割くなんて、どう考えても無駄でしかない。

 ひとり暮らしの彼女は、わざわざ自分のために、毎日あんな手の込んだものを作っているんだろうか。

「……理解できない」

 つぶやいた俺を、祖父が不思議そうに見た。

「なにが理解できないんだ?」
「いや、なんでもない」

 祖父も中里も、非合理的で、非効率で、意味のないことに時間を費やす。

 その価値がわからない自分は、欠陥品なんだろうか。

 祖父との会話に区切りをつけため息を吐き出すと、「ほら」と背中になにかを押し付けられた。

「いつもの仕事だ」

 そう言う祖父の手もとに視線を落とし、顔をしかめた。