バツイチだけど恋をしてもいいですか



4なぜか気になる人 神崎side

 スーパーの店内に入り商品が並ぶ棚の間を歩いていると、背後で自動ドアが開く音がした。

 誰かが店を出ていく気配を感じ、なにげなく振り返る。商品棚の隙間から、女性の後ろ姿が一瞬だけ見えた。

「あれ……」

 肩につくくらいの長さの髪に華奢な体形、シンプルで落ち着いた服装。そのどれも、見覚えがあった。

 あれはもしかして、中里か……?

 彼女に似た女性を見て、職場での中里の表情がよみがえる。

 仕事中、俺が休憩フロアの前を歩いていると、突然踵を返した彼女とぶつかりそうになった。驚いてこちらを見上げた彼女の瞳は、涙で潤んでいるように見えた。

 いったいどうしたんだろうと疑問に思い、彼女が立っていた視線の先を見る。そこには楽しそうに話す、営業部の社員たちがいた。

 その中心にいたのは、彼女の元夫の沢辺駿介。

 中里は、楽し気に話す元夫を見て、涙をこらえていたようだ。

 もしかして彼女は、まだ沢辺への想いを断ち切れていないんだろうか。

 離婚した元夫のことを想い続けるなんて、無駄でしかない。さっさと気持ちを切り替えればいいのに。