バツイチだけど恋をしてもいいですか

 かわいい話題に思わず口もとを緩め、出てきた店を振り返る。

 入り口の上のレトロな看板が、今日も温かく光っていた。合理的で無駄を嫌う課長のイメージとは、似つかわしくない昔ながらの個人商店。

 その看板を見上げながら、「きっと課長はたまたまここに立ち寄っただけだよね」とつぶやく。

「ママ、どうしたの?」

 花音に不思議そうにたずねられ、「ううん」と首を横に振った。

「おうちに帰ってご飯を作ろうか。お野菜を切るの手伝ってくれる?」
「うん!」

 笑顔でそんな会話をしながら、花音と手をつないでアパートへと歩きだした。