「沢辺くんはすごいよなぁ。仕事をこなしながらひとりで子育てまでしてるんだから、本当に頭が下がるよ」
営業部の部長が、そう言いながら駿介の肩を叩いていた。
「いやいや、父親として当然のことをしてるだけですから」
「娘さんは保育園に通ってるんだろう?」
「えぇ。毎日弁当を作って娘を送り届けてます」
堂々と嘘をつく駿介を見てむっとする。花音は私が育てていて、駿介は一緒に住んでもいないのに。
「沢辺さん、えらーい」と弾んだ声を出したのは、私が営業部にいた頃から駿介を慕っていた、後輩の西野美香さんだ。
西野さんは愛想がよく、年上の男性社員たちからかわいがられるタイプだ。
そんな彼女のことが、私は少し苦手だった。結婚していた頃は駿介と西野さんの距離の近さに違和感を抱き、駿介と言い争いになったこともあった。
駿介は私が聞いていることも知らず、神妙な顔で部長に頭を下げる。
「娘のせいで出社が遅くなったり、残業ができなかったりして、ほんと申し訳ないです」
白々しい嘘をつく駿介を見て、苛立ちと悔しさで胃のあたりが苦しくなった。
営業部の部長が、そう言いながら駿介の肩を叩いていた。
「いやいや、父親として当然のことをしてるだけですから」
「娘さんは保育園に通ってるんだろう?」
「えぇ。毎日弁当を作って娘を送り届けてます」
堂々と嘘をつく駿介を見てむっとする。花音は私が育てていて、駿介は一緒に住んでもいないのに。
「沢辺さん、えらーい」と弾んだ声を出したのは、私が営業部にいた頃から駿介を慕っていた、後輩の西野美香さんだ。
西野さんは愛想がよく、年上の男性社員たちからかわいがられるタイプだ。
そんな彼女のことが、私は少し苦手だった。結婚していた頃は駿介と西野さんの距離の近さに違和感を抱き、駿介と言い争いになったこともあった。
駿介は私が聞いていることも知らず、神妙な顔で部長に頭を下げる。
「娘のせいで出社が遅くなったり、残業ができなかったりして、ほんと申し訳ないです」
白々しい嘘をつく駿介を見て、苛立ちと悔しさで胃のあたりが苦しくなった。



