バツイチだけど恋をしてもいいですか

「そんな手が込んでるわけじゃなく、ごくごく普通のお弁当ですよ。作り置きをしてるので、そんなに時間もかかってませんし」
「そうなのか」
「はい。ミートボールはひき肉が安い時にまとめて作って、ブロッコリーのグラタンもカップに入れて冷凍してあるので、朝は詰めるだけですむし……」

 私の話を聞いた課長は「へぇ」と感心したようにつぶやく。

 鬼課長と恐れられている彼が、仕事以外の雑談をしているところを初めて見た。

 表情の読めない端整な顔立ちと鋭い目つき。抑揚のない低い声や、隙のない雰囲気のせいで、ものすごく近寄りがたく感じていたけれど、本当はそんなに怖い人ではないのかも……。

 掲示板のお返事のお陰で私の受け取り方が変わったのか、近寄りがたかった鬼課長に少しだけ親近感を覚えた。



 その日の午後。他部署に急ぎの書類を届け、社内の廊下を歩いていると、休憩スペースから賑やかな声が聞こえてきた。

 コーヒーを飲みながら立ち話をしているのは、営業部の社員たち。その中心にいるのは駿介だった。