バツイチだけど恋をしてもいいですか

 手を合わせ、お箸でブロッコリーを掴もうとしたその時だった。

「中里」

 背後から聞こえた低い声に、「ひっ」と小さく声がもれる。

 慌てて振り返ると、そこには神崎課長が立っていた。

 いつの間にそこに……と動揺する私に、課長は表情を変えないまま口を開いた。

「ひとつ言い忘れたんだが」

 そう言われ、緊張しながら「はい」とうなずく。

 わざわざお昼休みに話しかけてくるなんて、重要な件だろうか。なにかミスをしてしまったとか……?

「これからは無理な仕事を回された時は報告するように」
「え?」
「ひとりで抱えようとせず、相談しろ。必要に応じて調整する」

 予想外の言葉に、目を丸くする。

 あくまで事務的な言い回しだけど、私のことを気にかけてそう言ってくれたんだろうか。

「あ、ありがとうございます……」

 困惑しつつ頭を下げると、課長の視線が私のデスクの上に向けられた。

 まじまじとなにを見ているんだろうと思い、彼の視線の先を追う。そこにあったのは、手作りのお弁当。

「ずいぶん手の込んだ弁当だな」

 淡々とした口調で言われ、私は小さく跳び上がった。