バツイチだけど恋をしてもいいですか

「ごめん。まだお洗濯してなかったかも。今日は別のにしよう?」
「イヤ!」

 花音はそう言って、ぺたんと床に座り込んでしまった。

 どうしよう。花音を保育園に送って、それから駅に移動して電車に乗って……。早く家を出ないと、会社に遅刻してしまう。

「ほら、こっちのいちご柄もかわいいよ?」
「うさぎさんがいいっ」

 なんとか機嫌を取ろうとしても、花音の頬は膨らんだままだった。それどころか、大きな瞳がじわじわと潤んでいく。

 焦りのあまり、『靴下なんてなんでもいいでしょう?』と言いそうになる。だけど、なんとかその言葉を飲み込んだ。

 花音はここ最近、一気におしゃべりが上手になり、その分自己主張が強くなった。お気に入りの靴下が履きたいとぐずるのも、成長のあかしだ。

 そう自分に言い聞かせ、ゆっくりと息を吐き出す。

「明日はお休みだから、うさぎさんの靴下買いに行こうか」

 私の提案に、花音はぱちぱちと目を瞬かせる。

「お気に入りの靴下をいつでも履けるように、同じの買っておこう?」

 そう言うと、花音はようやくうなずいてくれた。