バツイチだけど恋をしてもいいですか

 声をかけたことを後悔しながら自分の席に戻ろうとすると、「体調は大丈夫か」と問われた。

「え?」
「めまいを起こしただろ」

 淡々とした口調で言われ、目を瞬かせる。

「あ、はい。ちょっと立ち眩みを起こしただけなので、全然」

 戸惑いながら答えると、課長は「そうか」とうなずいた。

 もしかして、私の体調を心配してくれたんだろうか。

 仕事人間で他人に興味を示さない課長が?

「これからは無理をしないように」
「……あ、ありがとうございます」

 驚きながらお礼を言うと、課長は「以上だ」と短く言い視線をパソコンへと戻す。

 私はもう一度頭を下げてから、自分のデスクに戻り息を吐き出した。

 まさか、課長に心配してもらえるなんて予想外だ。
 勇気を出して自分から課長に声をかけてよかった。あのおじいさんの返答のお陰だ。

 そんなことを考え表情を緩ませた時、冷ややかな視線を感じた。

 不思議に思い振り返ると、渡辺さんたちが出社してきたところだった。

 同僚の女性社員と一緒に、こちらを見ながらひそひそとささやき合っている。