バツイチだけど恋をしてもいいですか

 私が書いた相談の紙の端を指さしてそうたずねる。

 そこにも謎の生物が書かれていた。

「ええと、これは猫じゃなくて鬼みたい」

 もじゃもじゃの頭から生えた、二本の角。力強さを表そうとしたのか上半身がやけに大きく、そのせいでスペースが足りなくなったのか下半身は小さくものすごい短足になっていた。

 アンバランスで妙にユーモラスな鬼の隣には吹き出しがあり、端整な文字で【あなたはもう十分頑張っていますよ】というセリフが書いてあった。

「なんでおになの?」
「ママが会社の鬼課長のことを相談したから……」
「ママのかいしゃのひと、こわいの?」

 驚く花音に、「大丈夫」と笑いながら首を横に振る。

「怖いけど、正しい人だから」

 カウンターのほうを見ると、店主のおじいさんと目が合った。

「お返事、ありがとうございます」
「かのん、ねこもすきだよ!」

 花音が回答欄に描かれた猫を指さしてそう言うと、おじいさんが「そうかそうか」と目じりを下げる。

「またかわいい絵を描いてくれるかい?」
「うんっ!」

 おじいさんは優しく微笑んでから、視線を私へと向けた。