私が口を開く前に、花音が「やったぁ!」と声を上げた。
笑顔の花音を見て、課長と顔を見合わせる。
突然の雨に降られ、一軒のスーパーに駆け込んだ夜。あの時は、こんな未来が訪れるなんて想像もしていなかった。
掲示板で誰にも言えない悩みを打ち明けたこと。優しい言葉に何度も救われたこと。そして、その言葉をくれた人が、今私を抱きしめてくれていること。
そのすべてが、まるで奇跡みたいだと思う。
人生は思いもしない方向に転がり、傷ついたり苦しんだりもするけれど、そのすべてが無駄ではなかった。
今あるこの幸せを手放さないように、大切にしていきたい。そう思い、課長の肩にそっと頭を預ける。
「私、幸せです」
そうつぶやくと、「俺もだよ」と優しい声が返ってきた。
そしてすぐに「かのんもっ!」と元気な声が響き、胸がいっぱいになる。
この先もずっと、一緒にいられますように。そう心の中で願う。
三人で笑い合いながら、私はそっと涙を拭った。
END



