バツイチだけど恋をしてもいいですか

 誰が来たのか、確かめるまでもなくわかっていた。

 深呼吸をしてから、ゆっくりと玄関のドアを開ける。そこに立っていたのは、真剣な表情の神崎課長。

 彼の顔を見た瞬間、感情があふれそうになる。

「課長……」
「君に謝りたくて来た」

 課長はそう言い、まっすぐに私を見つめた。

「傷つけて悪かった。君が怒るのは当然だと思ってる」

 言い訳もせず、深く頭を下げる。誠実すぎるその姿に、胸がぎゅっと締め付けられた。

「ち、違います。怒ってなんていないです」

 私が首を横に振ると、課長は驚いたように顔を上げた。

「さっきは、恥ずかしくて、逃げ出しちゃっただけなんです」
「恥ずかしい?」
「弱いところも情けないところも全部知られていたんだって思ったら、恥ずかしくて課長の顔をまともに見られなくなって……」

 素直な気持ちを隠さず伝えると、神崎課長が「そうだったのか」とつぶやき表情をやわらげる。

「花音から聞きました。課長が掲示板のことを黙っていたのは、私が本音を話せる場所を守るためだったって」

 込み上げてくる感情に、声が震えた。それでも前を向き、必死に想いを伝える。