バツイチだけど恋をしてもいいですか

 いつまでも隠しているわけにはいかないと思っていた。けれど、もっとちゃんとした形で、自分から事情を話し謝罪をするべきだった。

「あぁ」と静かにうなずくと、中里が目を見開く。

「今まで黙っていて悪かった」
「どうして……」
「最初は君だとは知らずに返事を書いていたんだ」
「でも……、途中からは私だって気付いていたんですよね?」
「一方的に悩みを知るのは卑怯だとわかっていたが、打ち明けるタイミングを失った。すまない」

 深く頭を下げた俺を前に、中里はしばらくなにも言わなかった。

 彼女はどんな気持ちでいるんだろうと想像するだけで、胸が痛んだ。

「あの……、私」

 中里がなにか言いかけ、口を閉ざす。

 そして逃げるように顔をそらした。

「すみません、今日は帰ります」

 早口で言い、花音ちゃんの手を引く。

「えっ。まだかんざきさんとあそびたいのに」
「また今度ね」

 こちらに背を向けた中里がどんな表情をしているのか、俺にはわからなかった。

 バタンと音を立てて玄関の扉が閉まり、部屋にひとりきりになる。