バツイチだけど恋をしてもいいですか


 そんな会話をしながら中里を招き入れる。

「おかえり、ママ!」
「ただいま。おりこうにしてた?」
「花音ちゃんは、ずっといい子にしてたよ」

 俺の言葉を聞いて、中里が「よかったです」と表情を緩める。

「花音。なにして遊んでたの?」
「ええっとねぇ、おえかきして、おりがみして……」

 花音ちゃんの話を聞きながら、中里がテーブルのほうに視線を向けた。

 カラフルな絵がたくさん描かれた紙を見て、中里が動きを止める。

 その視線の先にあるのは、うさぎの横に描かれた不格好な猫。それを見て、彼女の表情が徐々に変わっていくのに気付いた。

 まずいと思い、紙をしまおうとする。けれど、すでに遅かった。

「この猫の絵……」

 そう言ってこちらを見た中里の目には、驚きと戸惑いが浮かんでいた。

 彼女はわずかに震える声で、俺に向かって問いかける。

「……もしかして、掲示板のお返事を書いてくれていたのは、神崎課長だったんですか?」

 こんな形で彼女に知られてしまったなんて……。自分の迂闊さに、奥歯を噛みしめる。