バツイチだけど恋をしてもいいですか

 その言葉にうなずこうとすると、中里が「神崎さんを困らせちゃだめだよ」と花音ちゃんをたしなめる。

「俺は困らないが」
「かんざきさん、こまってないって」
「でも、お買い物しなきゃいけないし……」

 眉を下げた中里に、「買い物?」とたずねる。

「はい。私の仕事用の服とか、日用品とか、いろいろ買わないといけないものがあって」
「かのん。おかいものより、かんざきさんといっしょがいいっ」

 ひさしぶりに会えたのがうれしかったのか、花音ちゃんは俺の手を離さなかった。

 小さな花音ちゃんを連れてあちこちの店をまわるのは大変だろうと思い、「中里が買い物をしている間、花音ちゃんと遊んでいてもいいか?」とたずねる。

「え、でも。お店の邪魔になるんじゃ……」

 そのやりとりを聞いていた祖父が、「二階の部屋を使っていいぞ」と声をかけてきた。

 中里が答える前に、花音ちゃんが「やったぁ!」と飛び跳ねる。

「ということだから、中里はゆっくり買い物をしてくるといい」
「でも、迷惑じゃ……?」
「迷惑じゃない」

 俺がきっぱりと言い切る。中里はしばらくためらってからようやくうなずいた。