バツイチだけど恋をしてもいいですか

 駿介はぎゅっと手を握りしめたまま、なにも言わなかった。だけど、小さく震えるこぶしを見て、私の気持ちはちゃんと届いてると思った。

 中村さんはゆっくりと息を吐き出すと、黙り込んだ駿介と西野さんを「行こう」とうながして立ち上がらせる。

 ふたりは抵抗することもなく、うなだれたまま中村さんについていった。

 三人の靴音が遠ざかり、ひと気のない場所で課長とふたりきりになる。

 私が黙り込んでいると、大きな手が頭に触れた。

 ぽんと軽く頭をなでられ、熱いものが胸に込み上げる。

 駿介の本心を聞き、自分の気持ちをはっきりと伝えられたことで、ようやく彼との関係を終わらせることができた。

 こんな結論を出せたのは、課長がいてくれたからだ。

 なにがあっても味方でいてくれる、頼もしい存在。課長がいなかったら、駿介に向き合うことなんてできなかった。

「課長……」

 潤んだ瞳で彼を見上げると、神崎課長が優しく目もとを緩める。

「頑張ったな」

 包み込むようなその言葉に、こらえてきた感情があふれ出し、熱い涙が頬を伝って落ちていった。