バツイチだけど恋をしてもいいですか

 私の言葉に、駿介は奥歯を噛みしめ黙り込む。悔しそうな表情でうつむいた西野さんの目もとには、涙が浮かんでいた。

 ゆっくりと息を吐き出し、駿介に向かって口を開く。

「付き合っている時のあなたは、本当に優しくて大好きだった。ふたりなら幸せな家庭を築けると信じて結婚した。私に不満があるなら、外に癒しを求めるんじゃなく向き合ってほしかった」
「愛美……本当に悪かった。もうこんなバカな真似はしないって誓うから……」

 すがるような表情で私を見上げる駿介に、首を横に振る。

「ごめんなさい。私にはもうあなたを信じることも、愛することもできない」

 静かにそう言い切ると、駿介の体から力が抜けるのがわかった。

「でも、駿介と結婚したことは後悔してない。あなたのお陰で私は花音と出会えたから」
「愛美……」
「私はもうあなたと関わりたくないし、花音に会わせるつもりもない。だけど、この先花音が大きくなって自分の父親と会いたいと言った時、胸を張って紹介できるような、恥ずかしくない人生を歩んで」

 こぼれそうになる涙を必死にこらえ、まっすぐに前を向きながら言う。