バツイチだけど恋をしてもいいですか

 延長保育の料金は三十分で五百円、二時間だと二千円。

 元夫の駿介からは生活費も養育費も受け取っていない。家計に余裕のない私にとっては痛い出費だ。

「ママ?」

 花音に声をかけられ、慌てて笑顔を作る。

「なんでもないよ。おうちに帰ろうか」
「うん!」

 花音の手を引き保育園を出ると、空気がひんやりと湿っていた。

 暗い空を見上げた頬に、ぽつりと冷たいものが落ちる。

「雨……」

 ぽつぽつと落ちて来る水滴はあっという間に本降りの雨になった。

 足元のアスファルトが黒く濡れていくのを見て、ベランダに洗濯物を干していたことを思い出す。

 降水確率ゼロパーセントという天気予報を信じて、バスタオルやタオルケットを洗ったのに。この雨じゃ、全部洗い直しだ。

「あぁ、もう……」

 必死に頑張っているつもりなのに、どうしてなにもかもうまくいかないんだろう……。

 課長の『非合理的にもほどがある』という冷めた言葉が頭に浮かび、無力感に襲われた。

 やりきれない気持ちで奥歯を噛みしめた時、小さな手の温もりを感じた。

 見下ろすと、花音が私の手をぎゅっと握っていた。