バツイチだけど恋をしてもいいですか

「どうして君は、ひとりで抱え込もうとするんだ」

 課長は私の手を掴んだまま、険しい表情でそう言う。

「もっと俺を頼れと言っただろう」

 私がなにも言えずにうつむいていると、静かに息を吐き出す気配がした。

「……沢辺に、脅されているんだろう」

 核心を突かれ、体が強張る。

「どうして……」
「退職願を出した時の君の様子を見て、俺には言えない理由があるんだろうと思った。それに、社内で沢辺と西野が君を辞めさせる算段について話しているのも聞いた」

 そこまで知られてしまったなんて……。

 言葉をなくす私を、神崎課長がまっすぐに見つめた。

「話してくれ、全部」
「でも……」
「なにがあっても、君のことは俺が守る。だから、信じてくれ」

 力強い口調でそう言われ、ずっと抱え込んでいた不安や迷いが、崩れていくのがわかった。







 翌日。駿介からメッセージが届き、昼休みに入る直前にひと気の少ない非常階段へ呼び出された。

 私の顔を見た途端、駿介は威圧的な態度で口を開いた。

「退職願は出したのかよ」
「だ、出したけど……、受理してもらえなくて」