バツイチだけど恋をしてもいいですか

 でも、もう全部手放さないといけないんだ。私が関われば、課長に迷惑をかけてしまうから。

 後悔とさみしさで、胸が締め付けられる。

 声を殺して泣いていると、ピンポーンとインターホンが鳴った。

 こんな時間に、誰だろう。

 涙を拭いながら玄関に向かい、ドアスコープをのぞく。そこに立っていたのは、神崎課長だった。

 どうして課長がここに……、と驚いて息をのむ。

 ドアの内側の私の気配に気付いたのか、「中里、開けてくれ」と落ち着いた声が響いた。

 無視するわけにもいかず、戸惑いながらドアを開ける。顔をのぞかせた私を見て、課長の表情がわずかに緩んだのがわかった。

「あの、どうしたんですか……?」
「話がある」

 短いけれど、強い口調でそう言われた。

 このまま立ち話をして、また駿介に見られると困ると思い、「とりあえずどうぞ」と彼を部屋に招き入れる。

「花音はもう寝てるので、できるだけ静かに――」

 そう言いかけた私の顔を見て、課長が眉をひそめた。

「泣いていたのか」
「いえ、あの……」

 慌てて目もとを隠そうとしたけれど、大きな手にはばまれた。