ひさしぶりに正面から向かい合えた中里は、顔色が悪く疲れ切っているように見えた。
人目を避けたほうがいいと判断し、会議室へ移動する。
彼女が俺の前に差し出したのは、白い封筒だった。
「……これは?」
そこに書かれた退職願という文字を見て、思わず声が低くなる。
「今までお世話になりました」
「理由は?」
「一身上の都合です」
「それだけじゃ、わからない」
そんな話をしながら、もどかしさが込み上げる。中里はずっとうつむいたままで、向かい合っているのに、一度も視線が合わなかった。
声に力がなく、表情は硬いまま。
今まで気付いてきた信頼や関係性がなかったことにされたように、他人行儀な態度だった。
「仕事を辞めて、これからどうするんだ。次の就職先はもう決まっているのか?」
「それは……」
「決まってないんだな」
強い口調でたずねると、中里は言葉に詰まり視線を落とす。
「花音ちゃんを育てるためにつらい環境でもひとりで頑張ってきた君が、次の職場の当てもないまま、無責任な決断をするとは思えない」
唇を噛んだまま黙り込む彼女を見て、ゆっくりと息を吐き出した。
人目を避けたほうがいいと判断し、会議室へ移動する。
彼女が俺の前に差し出したのは、白い封筒だった。
「……これは?」
そこに書かれた退職願という文字を見て、思わず声が低くなる。
「今までお世話になりました」
「理由は?」
「一身上の都合です」
「それだけじゃ、わからない」
そんな話をしながら、もどかしさが込み上げる。中里はずっとうつむいたままで、向かい合っているのに、一度も視線が合わなかった。
声に力がなく、表情は硬いまま。
今まで気付いてきた信頼や関係性がなかったことにされたように、他人行儀な態度だった。
「仕事を辞めて、これからどうするんだ。次の就職先はもう決まっているのか?」
「それは……」
「決まってないんだな」
強い口調でたずねると、中里は言葉に詰まり視線を落とす。
「花音ちゃんを育てるためにつらい環境でもひとりで頑張ってきた君が、次の職場の当てもないまま、無責任な決断をするとは思えない」
唇を噛んだまま黙り込む彼女を見て、ゆっくりと息を吐き出した。



