バツイチだけど恋をしてもいいですか

 その気持ちを考えるだけで、もどかしさが込み上げる。

「悪いな。面倒なことに巻き込んで」
「いや。俺も後悔してるから」
「後悔?」

 大吾の言葉を不思議に思い、首をかしげる。

「中里さんと沢辺が離婚した時、悪い噂が流れただろ。真偽を判断できなかったから首を突っ込まず静観してたけど、あの時ちゃんと話を聞いてたら、中里さんはこんなに苦しむことはなかったかもしれない」

 夫婦の離婚問題に、他人が口出しできないのは当然のことだ。それでも後悔していると口にできる大吾の誠実さに、彼らしいなと思う。

「営業にいた頃、中里とは親しかったのか?」
「いや。中里さんは沢辺の目を気にしていたのか、ほかの男性社員と親しく話すことはなかったよ。でも仕事は丁寧だし、気がきくし、同僚たちみんなでいい子だねって話してた」
「そうなのか」
「ふとした時に見せる笑顔がかわいいしね」

 予想以上の褒め言葉を並べられ、勝手に眉間にしわが寄る。そんな俺の顔を、大吾がのぞきこんでくる。

「え、なに。やきもちやいた?」
「やいてない」

 強い口調で否定すると、「わかりやす」と大吾が肩を揺らして笑った。