バツイチだけど恋をしてもいいですか

 渡辺さんはコンビニで買ったパンを取り出しながら、「今月ちょっと金欠なのよ」と笑った。

「ランチも高いですもんね」
「そうなのよ。どこのお店も値上がりしてて嫌になっちゃう」

 そんな他愛のない話をしながらお昼を食べていると、渡辺さんがふいに真面目な顔で私を見た。

「中里さん、あのね。前から言おうと思ってたんだけど」
「はい?」
「中里さんが異動してきたばかりの頃、嫌な態度を取ってごめんなさいね」

 思いがけない謝罪に、思わず目を瞬かせる。

「離婚の原因とか、子どものこととか、悪い噂がたくさん流れてたでしょ。私たち、それを鵜呑みにして警戒してたのよ。でも一緒に働いてるうちに、中里さんは噂のようなだらしない人じゃないってわかった」

 その言葉に、まぶたがじわりと熱くなった。

「そんな、誤解を解こうともせず、周囲と打ち解ける努力もしなかった私も悪かったんだと思います。すみませんでした」

 そう言って頭を下げると、渡辺さんは「それじゃあ、お互い様ってことで」と笑ってくれた。

「中里さんとこんなふうに話ができるようになったのも、例の掲示板のお陰かしらね」